第3話 駆け足イスタンブール

9月18日(金)
 時差ぼけもあり、朝5時くらいに起きてしまう。朝ごはんは、きのうアリさんが買っておいてくれたものをキッチンで簡単に料理して食べる。パスタを入れたインスタントスープ、エキメキ、ツナ、チーズ、チャイ、昨日のお宅でいただいてきたメロン。お腹はもたれ気味。お父さんはラマダン中なので、藍子とふたりで食べる。
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明るいかわいいキッチンです。

 ごはんのあと、両替もかねて近くを散策する。ちょっとしたカフェがやたらたくさんあってなんだか楽しい。やっぱりヨーロッパの町みたい。すぐ近くに結構大きい駅かなんかあって(イスタンブールのどこにいたのか全くわかっていない)大きな交差点はラッシュアワー、日本のちょっとした都市と同じようにスーツ姿の通勤の人や車がすごい。ビーサンはいて手ぶらでぶらぶら歩いてる日本人親子のいる雰囲気ではない。しかし気にせずきょろきょろしながら歩きまわる。
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こんなカフェの外のテーブルで皆チャイを飲んだりなんか食べたりしている。
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トルコは農産物が豊か。あふれんばかりの八百屋さん。
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朝の裏路地。
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ケーキ屋さんのウインドウ。このピンクのが何なのか気になる。
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道沿いにガチャガチャ(?)があり、藍子が立ち止まったので、一個だけやってみる。紫色のスーパーボールがでてきて、旅のお供をすることになった。(わんわんボールと名付けられていた)

 両替にチャレンジしたあと、どうしてもカフェに入りたくって、一軒を選ぶとコーヒーとドーナツみたいなお菓子をたのんでみる。セルフサービスの店で、お菓子やなんかがいっぱい並んだカウンター越しにおねえさんに頼むんだが、英語があんまり通じず、石川君がかなり不明ながらもやりとりしてくれる。とにかくカフェでコーヒーを飲めて満足はしたが、味はネスカフェでした。宿に戻って出かける支度をしていると、アリさんが迎えに来てくれた。

アリさんとお友達と一緒にタクシーでまずはじめのモスクに到着。観光地らしく人がいっぱいだ。
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まわりはバザールっぽくにぎわっている。
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どんどん間近にせまってくる。

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 観光客が多く、日本人も結構ちらほら。中に入ると、壁のタイルを触れるほど近くでみれて、遠目で見るとモスクの壁の色にすぎないのに、近くでみると、ひとつひとつの模様がとても細かくて、なんか宇宙的な感じがする。一枚一枚のタイルの存在がとても有機的だ。そしてとにかくタイルの青が美しい。アリさんが現代の技術ではこの色がでない、と言っていた。タイルの柄は植物をモチーフにした文様で、ブルーの濃淡がとてもとてもきれい。写真がいまひとつぼけていてすいません。
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これはタイルの貼られた柱を見上げているところ。

 モスク中央のドームはものすごく高い天井!上からあかりがさがっているが、昨日の海の近くのモスクで見たすごいゴージャスなシャンデリアのほうがかっこよかったなあ、とも思う。
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モスクの床はぜんぶ絨毯が敷き詰められている。模様もかわいい。

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アラビア語の装飾文字が入ったタイルもたくさんある。

 モスクをでると、じゃ次ってかんじでアリさん早足で歩き始める。狭い道沿いに観光客相手のお店がずらーっとならび、道は渋滞、でかい観光バスがどかどか割り込んでくる。道を渡るのも、信号など関係なしに人も車も強気でないと渡れない。ちょっと古びた土産物屋とか気になるなーと思うのだがアリさんどんどん行っちゃうし。
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いかにも観光客相手な感じの店が並んでいる。

 すこし歩くと世界遺産のアヤソフィアに着いた。ここらあたりは名所がかたまっているんだな、とやっと気がつく。ここはもともとキリスト教の大聖堂だったところをモスクとして使ってきたというところで、いろいろな変遷があったそうで、その痕跡がたくさん残っているところが見どころなんだそうな。
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モスクに入る時は女性はスカーフをかぶります。
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キリスト教とイスラム教の美学が混在している。

キリスト教的部分とは、キリストやマリアの絵や像、ステンドグラスのモザイク模様などが残っているところ。イスラム的には具象は禁物なので、幾何学的なアラベスク模様やアラビア語の装飾文字などが使われる。それぞれの美しさの違いがわかってとても興味深い。しかし、人の多い観光地は疲れる。
 お昼の礼拝に間に合うように、急いで隣のスルタンモスクへ(これがブルーモスク)。わたしと藍子は外で座って待つ。アリさんと友人、石川君は今日もラマダンなので何も食べないのだが、藍子がハラヘッターといいだしたので、戻ってきたアリさんが近くでサンドイッチを買ってきてくれた。そこはテイクアウトもしてくれるちょっとしたレストランで、中に炭火の大きなロースターが見えたのだが、サンドイッチの中身は炭火焼きのキョフテ(ハンバーグのようなもの)だった!大きなフランスパンにキョフテ、赤たまねぎ(さらしてなくて辛かったが)、トマト、きゅうりがはさんである。これがすごく美味しくて、はんぶっこのつもりがほとんど藍子に食べられた。あと、アイランというヨーグルトの飲み物。これはこちらの人はほんとによく飲んでいる。
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お昼どき、木陰でおしゃべりするムスリマ達。

食べ終るとまたまた急ぎ足でこんどはトプカプ宮殿へ。大きな門を入ると広い広い庭。ときどきムスリマ(女性のイスラム教徒)が大勢で歩いていたり、座っておしゃべりしたりしてる風景を見かけるが、色とりどりの服装が独特で、ゆったりと穏やかで賢そうな雰囲気もあり、目を引く。つい写真に撮りたくなるが、自分もスカーフをしているのだった。
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 入り口でまたまた軍楽隊の演奏が始まるが、今日は横目に見ながら中へ。ここもまたすごい観光客。昨日の博物館もたくさんのものが展示してあったが、トプカプも本当にたくさんの古い歴代の宝物や預言者(神の言葉を伝える人)の持ち物など、すごく保存されている。トルコ人は結構細かく大切に保存するらしい。モーセの杖、ダビデの刀、預言者のひげ、歯、使っていたターバン、鍋、とか。なんかロールプレイングゲームのアイテムのような。観光客の人種の幅もすごく、ヨーロッパ、アジア、インド、ユダヤ、それらがまじった人、人、人酔いしてしまった。
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展示してあった古いドレス。柄がかわいい。

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建物や構造も気になったが、よく見ている暇がない。

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宝物が収められている建物の内装もタイルがいっぱい貼ってあってすごく美しい。宝物はガラスの中に収めてあって、人垣で見えにくいのでタイルばかりみていた。ひとつの模様のタイルがひとかたまりになっているけど、結構ランダムにパッチワーク状になっていてそのラフな感じがかわいく、窓から入る日差しがあたってさらに美しかった。
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建物を出て、海の見える庭園で一息。これがボスポラス海峡。真っ青な空と海、きもちよい風。人ごみでくらくらした頭を吹き抜ける。トプカプ宮殿を出ると、礼拝をしにふたたびスルタンモスクへ。今度はわたしと藍子も中に入る。
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スルタンモスクの絨毯

 ここは観光名所でありながらも、大勢のムスリムが礼拝に使う生きたモスクでもある。藍子がスカーフをして座っていたら、礼拝を終えて出てきた人たちが、藍子を見て口々に写真に撮らせてくれと言い出し、(ほとんどが携帯のカメラだった)ちょっとした人垣ができてしまった。異国の見知らぬ人たちの携帯に藍子がどんな風におさまったのかと考えると可笑しい。
 モスクをでるとまたもや足早に歩きだす。今夜のイフタール(ラマダン中の日没後の食事)をいただくお宅に向かう、ということらしいのだが、どこをどう連れて行かれるのかまったくわからない。あたりは観光地らしくいろんな店が立ち並ぶ通りを歩く。夕方が近づいていてレストランも活気づいてきた。土産物屋、きれいな文様の皿やタイル、カラフルなペンダント照明、革細工の靴やサンダル、アクセサリー、絨毯などなど横目で見ながらどんどん通り過ぎていく。お菓子屋さんも小さなかわいいお菓子が山と積まれ、チョコレートなのかピンク色のデコレーションケーキをよく見かける。さらに歩くとバザールに入り込む。道が狭くてアリさんは早くて、目に映るものすべてをよく見たいが、はぐれないように藍子を見ていないといかんし、道を渡るのも車にひかれそうだしで大変。狭い路地にはひしめくように銀のキッチン道具やドライフルーツが天井まで積み上げてあり、はちみつ、スパイス、おもちゃ、服などもうものすごい。藍子がトイレに行きたいといいだすのでアリさんが知り合いの店に連れて行ってくれたが、そこがまたすっごい狭い店の狭いらせん階段をぐるぐるぐるぐる6階くらいまで登って、てっぺんの屋上の一歩手前みたいなとこにあるトイレをお借りした。この商売っ気たっぷりのバザールが横にも縦にも広がっていることがわかった。においと喧騒と早足と焦りと好奇心とがごちゃまぜにワーッとなってポン!とバザールを外へ抜け出ると、今朝いちばんに来たモスクの入り口のそばの広場で、まるでふりだしに戻ったみたいでキョトンとした。しばし外を歩くと船着き場に。どこからともなく焼きサバサンド(イスタンブールの名物料理)らしきにおいが。しかしまだ日が落ちるまでは断食中なのだ。だまって諦め、船にのって海峡を渡る。
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 結構速いスピードで流れていくトルコの町並み。建物にまじってモスクとモスクの尖塔がシルエットになってきた。夕暮れの街。おもしろい形の雲が夕陽を隠している。20分ほどゆられて冷たい風をあびて船をおりると今度は超満員バス!そしてさらに車でお迎えがきて、ようやく友人宅に到着。中に入るとわたしと藍子は奥さんにスッとひっぱられるように別室へ。今夜のお宅は男女別室なのだ。6歳と2歳の男の子がいるおうちで、お母さんは二つの部屋とキッチンを行ったり来たり、子供もうろちょろ、めまぐるしく動き回っている。
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お食事はトマトのスープから始まった。トマト味が濃厚で、チーズをぱらりとトッピング。ミントのきいたサラダとごまののったエキメキ、春巻きみたいなのの中にはカレー味のサラミみたいなのが入っていた。チキンのローストは藍子が食べたいというのでとってあげたが、わたしは食べきる自信がなくてとらなかった。なにしろ量が多いのだ。
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スープの皿をさげると次のお皿には焼きなすのペーストにお肉のトマト煮のようなものがのった料理にごはんが添えられてでてきた。ナスのペーストは香りがよくトロッとしていて、肉の煮込みと一緒にパンにのせて食べる。それから挽肉のピーマン詰めにはヨーグルトのソース。ヨーグルトの上にさらにチリか何かの赤いオイルソースがかかっていて凝っていて美味。赤ピーマンのローストはシンプルながらもとろーっとして甘くてこれまた美味しい。飲み物は自家製のレモネード。グラスにレモン汁とミントが入れてあって、そこにスプライトみたいなのをざっと注いでくれる。すばらしいお料理だったが、奥さんは英語もあまりわからないので男性部屋のように談笑はなく、ただひたすら食べていた。ときおりジェスチャーまじりに料理の説明や子供のことを話したりした。デザートはピスタチオのバクラヴァ(トルコの名物菓子)と手作りのクルミ入りケーキのシロップ漬け。初バクラヴァは、パリッとしてリッチでとろみのあるシロップが甘くて香ばしくて美味しい!子供たちはスープしか飲んでなかったが、バクラヴァを見ると急に食べたがり、お母さんがため息まじりに子供にも出している。下の子には「スープ残したじゃないの!スープを先に飲みなさい!」的なことを言ってスープの器をドン!と置いていた。どこも同じだなあと思う。藍子も好きなものしか食べておらず、いろいろ残したのだが、「子供はちっとも食べないから気にしないで」的なことを言ってくれた。しかしこんなやんちゃざかりの男の子を2人もかかえて家をきりもりするのが大変なのはどこの国でも一緒だなと思いつつ、その状況でこれだけのもてなしをこなすここの奥さんはすごいひとだなあと感心する。帰りの車の中で石川君と料理の感想をいいあっていたら、「あのローストチキンがうまかった」という。え?それあたし食べてない!藍子が少しでも残せば食べたかもしれないけど、あいつはうまいものは最後まで食べるのだ。くやしい・・・。帰ると今日も疲れ果ててぐっすり。スピード感のある雑多な感じの夢を見た。藍子はまたベッドから落ちた。
posted by おかこ at 2010年03月04日 | トルコ